子育てを自分でしてはいけないのか問題

大学を卒業して就職した。結婚や出産のことはその時に考えれば良いと思い、まずは、総合職としてのスタートだった。産休や育休は世の中にはあったけれど、私の職場は中小企業で、女性の総合職もそれまで数名。仕事の内容は、男性の総合職に比べて営業がないなど配慮の感じられる内容だった。しかし、労働時間は事務職よりかなり長く、10時11時の退社も週に2、3回は普通、その後のおつきあいで午前様になることも度々だった。

そして、結婚。子育てを視野に入れながら毎日過ごすにつけ、このまま働き続けながら生活するのは私にはとても無理だと思えた。夫の分の朝ごはんを作って出社するのだって、余計な仕事に思えたし、帰ってきてから朝の食器を片付けて夕食の準備をするのも私の担当で、大変だった。これに、子どもを産んで、食事の支度や洗濯、子どものお世話、保育園への送迎などが加わると思うと、とてもできないことだと思うようになった。

働きながらの子育てではなく、子育てを中心に据えることが、私には自然な選択肢として現れた。命をつなぐことに向き合い、日々暮らすこと。それは、自分の収入を犠牲にしたし、総合職として成功したいという仕事への思いや一緒に働く方々とのつながりも失うことでもあった。

それから15年も経った今、働きながら子育てをする女性は格段に増加したというのが実感。保育園も存在感を増している。だけど私は、子育てをしたい人は、周囲の目など気にせず、自分だけの子育てをしてほしいと思う。そこに保育園が介在するかどうかは、あまり重要ではないような気持ちになっている。